社会起業家訪問@ネパリ・バザーロ

こんばんは。かなり間をおいてのブログ更新となりました。和田です。
自身仕事を始めてから、しばらくこの分野に関わる時間をうまく割く事ができずもどかしい日々を送っていましたが、夏休みに入り少しゆとりができ、今がチャンスと書きだした次第です^^

今回は、私が今週末に訪れた横浜のネパリ・バザーロという会社について書きたいと思います。

ネパリ・バザーロとは、ネパールの生産者とフェアトレードのハンディクラフト、食品の開発、生産、輸入を行っている会社。主にオンラインショップにて商品を販売、全国各地のレストランやフェアトレード商品を扱うお店等へ卸していますが、横浜のあーすぷらざに直営店があります。
ネパリ・バザーロ
http://nbazaro.org/wordpress/
通販ショップVerda(ネパリ・バザーロの商品を売っています)
http://www.verda.bz/

今回直営店へ訪れたのは初めてだったのですが、カタログで見た色々な服を実際に手に取ると、コットンのやわらかな素材に驚きました。また、手編みのやさしさを感じる事が出来ました。

突然の訪問なので詳しいお話はまた次の機会にアポを取っていかなきゃな。。と反省していたにも関わらず、お話の流れで、当日事務所にお伺いさせていただけることになりました。直営店でお会いしたスタッフの勝田さんのお気遣いに心から感謝です。

事務所には、ネパール人の研修の方を合わせて5人のスタッフの方がいらっしゃいました。
開発部として活動されている高橋さんが、ネパリのお仕事について、そしてフェアトレードについてのお話をして下さいました。

ここで全てを書ききれないくらいの色々な事を教えていただいたのですが、中でも特に心に残った事を選び、一部ここに書きたいと思います。

今ではもうかなり認知をされてきたフェアトレードですが、
ネパリバザーロでの行うフェアトレードのお仕事のスタイルは、生産者の側に立ち、あくまで規模は小さく行ってゆくことが大切であるという所です。
 その理由は、このお仕事が利益を追求するだけの仕事ではなく、生産者の視点を大切にし、彼ら・彼女らの自立、生活の向上を目指すための事業であるから。その本来の目的に常に活動が沿うように、生産者との距離を常に密接なものに保っています。

このスタンスで、密に生産者と連携をとり、変わりやすい生産地の状況にあった方法で、その都度柔軟に対応した製品を開発、継続的に受け入れる体制を作っていました。

「貧困削減のためのフェアトレード」という仕事を考えたとき、かつて私は、生産者の生活を豊かなものにするために、事業の規模を次第に拡大させ(フェアトレード商品がたくさん生産され、需要も増え、たくさん買ってもらえる状態)そして収入が増えてゆく事が理想なのかな、と考えていました。でも、フェアトレードの商品を増やしてゆくことを重視してしまうと、活動の本来の目的はずれてきてしまう事に気づきました。

生産者一人がものづくりをする仕事には、限界があります。
利益を増やしていくことを優先してゆくと、ここで次第に「効率的に、大量に」という考え方になってゆき、生産者の仕事には合理さを求められるようになります。

この考え方でいくと、効率を良くするために、一つの製品を作るための仕事は分業になってゆきます。例えば、一つの服を作るのに、ファスナーを縫うだけの人、ひたすらミシンで縫うだけの人、という仕事の仕方になります。これで確かに仕事の効率はよくなるかもしれないし、生産性は増えてゆきます。

でもそうした場合、いざその会社がなくなったときに、生産者はどうなるだろうか。ファスナーだけ縫う事の出来る人は、その服の完成のさせ方をしらず、縫うだけの人も他の行程を知らない。彼らが独りきりになったときに、服を作る職人として、生産地では、一人ひとりが自立することができない。

だから、一つの製品を作るのに最初から最後までを一人の人が責任もって作りきる、という事を、とても大切にしています。

小さく、長く続ける。
生産者に仕事を教え、自立が出来るようにというところまでを見据えた仕事の仕方を現地の人々と共にされているネパリ・バザーロの方々に、大きな感銘を受けました。

ネパールでは現在も根強いカースト制度、男尊女卑の社会であるそうです。「ネパリ・バザーロで仕事を始めたネパール人女性が、次第に顔つきが変わり、綺麗になってゆく姿が見られた。夫からひどい扱いをされている女性が、仕事を通して貯めたお金で離婚することができた。それを皆で祝った。」そんな幾つかの現場のエピソードもお聞きしました。

「働く」ということは、「生きる」ということ。どこかで聞いたことのあるようなフレーズを今回もう一度思いめぐらせてみると、

仕事は、本来その人の人生を自由にし、輝かせる力を持っているのだな、という事を、改めて感じます。

そしてもう一つ。国際協力を考えたとき、私は、なぜそれをしているのだろう?という事を考える時がよくあります。

高橋さんは、例えばネパールの女性問題を考えたとき、日本の女性の抱える問題とはなんだろう。
海外と、文化の違う他者と関わる仕事を通し、自分自身に返ってくる問いがあるとおっしゃっていました。

貧困問題を考えたとき、日本にある貧困とはなんだろう。他の国の社会問題に目を向けたとき、私達日本の抱える問題とはどんな形だろうか。というように。幸せの形も、きっと色々あるのだと思います。
切り口や、活動の現場はどこでもいいし、誰がどの分野で動いてゆくのも、自由であると感じます。遠い国の誰かを思う気持ちは、身近にいる困っている誰かを思う気持ちと同じであるという事。フェアトレードという仕事は、そんなメッセージを教えてくれているようにも感じました。

形は様々ですが、誰かを思い仕事に携わる人が増えていけばいい、そして私自身も、そのような心持で仕事をしてゆきたい、と改めて思った一日でした。

最後に、このような貴重なお話を聞かせて下さったネパリ・バザーロの皆さん、本当にありがとうございました☆


ネパリ・バザーロのお仕事に興味を持った方、近々、仕事について話の聞けるイベントがありますので、チェックしてみてください^^

仕事百科24時間トークイベント:
シゴトヒト(仕事百科)の中村さんによる、24時間トークイベント
http://nbazaro.org/wordpress/?p=138